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各町・団体の鼕紹介

苧町鼕保存会

 
【苧町の鼕】
苧町の鼕台は、大正 4 年の大正天皇ご即位のご大典を機に作られました。その後、昭和 37 年松江市庁舎完成記念の年の鼕行列参加を最後に、鼕台及び鼕の老朽化によって、20 年以上鼕行列には参加していませんでした。
そうした中、徐々に町民の間で鼕台を新調しようという機運が高まり、平成元年の松江市制百周年を機に入母屋唐破風造りの鼕台を新調し、晴れて二十数年ぶりに鼕行列に参加いたしました。
この鼕台は見た目に派手さはありませんが、清楚な中にも荘厳さがあると言われています。また、その鼕台に納めた直径約 150cm の 2 個の鼕は、打つと味わい深く勇壮な響きがあると定評があります。
叩き方はシャギリを中心に、間でミタミタ、早打ちを取り入れながら行進します。
現在鼕行列は 3 年に 1 回の割合で参加しています。

【苧町の歳徳神祭】
鼕行列に参加する年は 10 月第 3 日曜日の鼕行列の日、参加しない年は 11 月 3 日に毎年歳徳神祭を行い、町内の繁栄や平安をお祈りいたします。
普段は鼕倉の中で鼕台の横に鎮座まします歳徳宮を、お祭りの約 1 週間前に宮当番のお宅に遷座いたします。

朝 9 時に阿羅波比神社の宮司さんにご祈祷していただいた後、町旗を先頭に町内を一周しながらお祓いをしてもらいます。
お祭りの夜は直会をして、歳徳神祭は終わります。

【苧町の地名の由来】
苧町は西茶町と末次町の間に位置しています。この一帯は昔、末次郷といわれ、波止を中心 (現在の市役所別館のあたり) として周辺の物資が船で運ばれてきて、江戸時代から明治時代まで大変にぎわった所でした。当時の苧町界隈は古津屋、小豆屋、杉谷屋等の豪商が軒を連ねており、中でも筆商で有名な裏辻家は藩の筆商として製造・販売で栄えた家であるということです。
さて、この「苧 (オ)」とは、麻の繊維からつくる苧のことであり、これを「粗麻 (アラソ)」ともいわれ、昔は色々な用途に使われていました。このアラソを取り扱う店があったことから苧町という名がつけられたのではないかと言われています。
一方、古江、佐陀、生馬地区では、イグサの栽培が盛んで、これが船で波止に荷揚げされ、麻の苧を芯にしてゴザが織られ、また織られたゴザが毎月 2 と 5 の日に末次広場でゴザ市が開かれ、たいそう賑やかであったと伝えられています。
この「苧」は、他に下駄の鼻緒の芯、蚊帳、麻袋、凧の糸、麻綱、壁塗の漆喰、等など用途はたくさんありました。現在ではあまり見かけなくなりましたが、結納に用いられる「友白髪」と呼ばれる縁起物にも白髪に見立てた「苧」が使われています。
このように古くから苧町は「苧」の町として広く知られ、栄えた町であったということですが、現在では苧という字はあまり使われない珍しい字であるため、「おまち」と読む人は少なく、芋町 (いもまち) とか宇町 (うまち) と読んだり書かれたりすることの方が多いようです。
松江市鼕行列保存会
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